2026.06.19

お土産、新定番

大きな鳥を模したサブレが、上毛高原駅のカフェの入り口すぐに並んでいます。

味はプレーンとコーヒーの2種。

プレーンはコーヒーにぴったりな角のない柔らかな甘み。コーヒーは豆が生地に練り込まれており、香りがサブレからほどけるように口に広がります。

包装の様子。

みなかみのお土産の新定番をとの思いで作られた「イヌワシサブレ」。

イヌワシストアマネージャー・みさきさん、デザイナー・みなみさんに詳しい話を伺ってみると、彼らの情熱と挑戦を楽しむ軽快さが見えてきました。

今回はこのお土産プロジェクトに関わった人々と、完成までの道のりに焦点をあてたいと思います。

こだわりと少数生産の狭間で

県産小麦を使い、この土地に暮らす自分たちで作る、そしておみやげとして存在感のあるものを作りたい!という気持ちが出発点のイヌワシサブレ。

そのこだわりが故に量産ができないため、完成までの道のりが長かったとのこと。

大きさはどうする?包装は?自分たちでできる?でも量産に引けを取らない出来栄えにしたい!と何度も意見を交わしたそうです。

アチアチのサブレ

サブレのレシピは、高崎で焼き菓子のキッチンカーを営んでいたbake shop HELLO ・清水さんによるもの。※リンク挿入

県産の手作りクッキーを作りたいと思っていた代表が、同時期に気になっていた清水さんに声をかけ、レシピ作りを依頼。彼女はワーキングホリデーに行くためキッチンカー業をたたむ予定があり、レシピを買い取らせてもらった。現在、サブレはレシピを授かった食・調理に造詣の深いスタッフたちにより、丁寧に焼き上げられています。

型は店名にもあるイヌワシのシルエット。その大きな体躯のイメージをサブレのサイズに反映させています。はじめは小さなクッキーを作る案もあったそうですが、せっかくイヌワシを型どるならば、らしく大きく!そして鳩サブレのように有名に、みなかみ土産の定番になったらいいなとの願いも込められ、サブレに。

焼きたて大渋滞

包装も、名だたる有名銘菓の技術・アイデアを勉強。量産ではないためできる範囲が限られてくる中、どれだけ存在感が出せるかを、デザイナーをはじめスタッフみんなで練り上げていったそう。

(スタッフみさきさんより)
最初の大まかな方向としては’’群馬県産の小麦で作る’’ことしか決めていませんでした。それは代表からの指示でしたが、みなかみのお土産であることとイヌワシと言う名を使うからにはそこの配慮は必要だと思っていたので納得感がありました。イヌワシの名を使うからには…と言うのは、環境負荷の少ないものを使わないとイヌワシを守る活動と謳っていることとの矛盾が生じてしまうと(勝手に)思っていたためです。現在燃料の高騰で全ての物価が上がっていますが、燃料が必要ということはその分環境に対して排出するネガティブなエネルギーも多いということです。できるだけ近いところから材料を集めることは環境に優しい選択ということだと思っています。

監修していただいた清水さんは普段から群馬県産小麦を使っていたり、他材料もなるべく国産の材料で作っており、とても心強かったです。お砂糖は国産のきび砂糖(メーカー指定!)、キメが細かく口どけがいいのが特徴です。きび砂糖ひとつとっても選択肢があるのか、と清水さんチョイスを見ながらワクワクしていました。

卵は普段からお世話になっている自然恵みファームさんの有精卵です。含有量としては裏方くらいですが、ご近所にこんなおいしい卵があって使わない手はありません。とても贅沢な使い方をしているな〜と少し罪悪感があるくらいです。

たっぷり入っているバターは四葉バター。間違いないおいしさですね。

コーヒー味の方はイヌワシストアで出している深煎りブレンドHUNTを使用しています。この豆の引き具合も清水さんと調整し、苦味と香りがどちらも活きている挽き目で配合しています。豆が持つオイリーさも相まって、ドリンクとしてのコーヒーとはまた違う風味が感じられます。個人的にとてもお気に入りです!

プロジェクトについて尋ねると、いつも楽しそうに話してくれるみさきさん。

ハローさんからもレシピの考案でこだわったそれぞれの材料について伺いました。

(ハロー清水さんより)
◯上州さとのそらについて
群馬県産の小麦を使うことで、土地の魅力や特産を感じてもらえるお菓子にしたいと思い選びました。
「さとのそら」は風味がやさしく、焼き菓子にすると小麦の香ばしさがしっかり感じられるのが魅力です。サブレのようなシンプルなお菓子だからこそ、素材そのものの味わいが大切だと思っています。

◯てんさいグラニュー糖について
甜菜(ビート)由来の砂糖は、すっきりとしたやさしい甘さが特徴で、素材の風味を邪魔せず引き立ててくれます。後味も軽やかなので、何枚でも食べたくなるような素朴なおいしさを目指して使用しています。

◯国産のブラウンシュガーについて
まろやかで上品なコクがあるところに魅力を感じて選んでいます。強すぎる風味ではなく、小麦やバターの香りを引き立てながら、ほんのり香ばしさが加わることで、サブレに深みのある味わいが生まれます。

シンプルな材料だからこそ、砂糖の種類によって印象が大きく変わるため、味のバランスを大切に選んでいます。全体として、素材そのもののおいしさがしっかり伝わるような、飽きのこない焼き菓子を目指しています。また、なるべく地元の食材を活かすことで、その土地ならではの魅力を感じてもらえるお菓子を作りたいと思っています。
手に取ってくださった方に喜んでもらい、地域の良さやあたたかさまで伝わるお土産になれば嬉しいです。

スタッフの力

そんなこだわりを貫き通す挑戦ができたのは、任せられる頼もしいスタッフたちがいたからだと代表は語ります。食に関する知識と経験で、他アイテムにも関わっているイヌワシストアマネージャー・みさきさんは、このお土産プロジェクトでも要だったよう。彼女については今後、別の記事で詳しく紹介したいと思います。

左から、スタッフのひろみさん、ハローベイク清水さん、みさきさん。

スタッフたちはみんな意見や思いを持っているけど、それを人に押し付けることはありません。カフェや宿泊施設での彼らの仕事を見ていると、この地で暮らすことで自分を満足させているという自信と美意識が、深いところに盤石に敷かれているのを感じます。その泰然自若な姿勢だけで、能弁に語ってくれるのです。そんな美しく健やかな人たちが作りだすお土産があるなんて、みなかみはなんて恵まれた地域なんだろう。